莉波──
ちょっと、いいかな?
ん? なに?
来週のサマースクールだけど、
莉波はどうする?
サマースクール?
うん、参加する予定だよ。
麻央も参加するんだよね?
ん、まあ、ね⋯⋯
そのことで、
莉波に相談があるんだけど。
相談⋯⋯?
ああ、じつは──
あ、麻央先輩──と、莉波先輩。
おはようございまーす!
ん、おはよう。ことね。
おはよう。ことねちゃん。
またアルバイト?
え? えーっとぉ⋯⋯
ま、まあ⋯⋯あはは⋯⋯
ことね、学生の本分は
アイドル活動とレッスンだよ。
禁止されているわけじゃないけど、
アイドルばかりに精を出すのは──
わ、わかってますってぇ⋯⋯
と、ところでぇ、
先輩たち、なんの話ししてたんです?
来週のサマースクールのことを
話してたんだ。
サマースクール──
⋯⋯って、なんですか?
3年生が参加することのできる、
自由参加の夏合宿だよ。
2泊3日で、最初の2日間は
レッスンとトレーニング──
最終日には、浜辺の特設ステージで
ライブを披露するの。
えぇ!? せっかく海に行くのに、
レッスンとトレーニングですかぁ?
⋯⋯そうだよ。
遊びに行くんじゃないんだから。
あ、でも一応、
自由時間もあるみたいだよ。
へええー、それはちょっと
楽しそうですねー。
けど、3年生だけなんですよね。
まだまだ先だなぁ⋯⋯
初星での3年は──
あっというまに過ぎてしまうよ。
だからね、ことね。
キミは才能があるんだから、
もっと真剣にアイドルの活動を──
あ、すみません! ちょっと、
次のアルバイトがあってぇ。
寮長の貴重なお話は、
また今度ってことで!
あ、ことね!
⋯⋯はぁ、まったく。
まあまあ。ことねちゃんも、
ちゃんと頑張ってるから。
ところで、さっきの相談って?
ああ、そうだったね。こほん。
えーっと、その、さ⋯⋯
莉波は、水着とか、
もう準備してる?
水着?
ううん、まだだよ。
宣材撮影用に着た去年のはあるけど、
ステージ衣装は違うのにしたいし。
⋯⋯そ、そう。
それなら、ちょうどよかった。
じつは、ボクもステージ用の水着を
まだ用意していなくてね。
えっと、ステージで着るような
可愛い水着って、よくわからないから、
莉波にアドバイスして欲しいなって。
ああー⋯⋯
うん、了解。
それじゃあ、放課後、
一緒に買いに行こっか。
ん、助かるよ。
──放課後。
麻央、こっちこっち。
可愛い水着、いっぱいあるよ。
こんなに種類があるんだね⋯⋯
これなんて、どうかなぁ?
ヒラヒラのフリルがついてるの。
これは、ボクが着るのにはちょっと、
可愛すぎる気がするよ。
えー、そうかなぁ。じゃあ、
こっちはどう?
⋯⋯ん、赤か。
少し派手すぎると思う。
派手なくらいでちょうどいいよ。
ステージ衣装なんだから。
それはそうだけど⋯⋯
ちょっと大人っぽい感じだと、
黒のビキニタイプとか、どうかなー?
⋯⋯いや、こういうのは莉波みたいに
スタイルが良くないと⋯⋯って、
これ、ほとんど紐じゃないか!
だめ! 絶対だめ!
⋯⋯やっぱり、だめかぁ。
か、からかわないでくれたまえ。
ボクは着せ替え人形じゃないよ。
ふふっ♪
ごめんごめん。
なんだか、デートしてるみたいで、
楽しくなっちゃって。
もうっ⋯⋯!
うーん⋯⋯
これとこれがいい感じかなぁ。
ステージ映えを考えると、
もう少し派手でも⋯⋯
2時間後──
うん、これでバッチリだね!
可愛くて、カッコイイ、
麻央にぴったりの水着だよ。
ありがとう、莉波。
莉波に相談してよかったよ。
えへへー。どういたしまして。
このニュー水着で、
サマーライブ、がんばろうっ!
⋯⋯ああ。
ボクたち3年生にとっては、
最後の夏──
大舞台に立てる
貴重なチャンスだからね。
このチャンスに、
絶対、結果を残さないと──