学マスデータベース

第3話

藤田ことね

プロデューサーさぁ、

藤田ことね

ぜ~ったいあたしたちが驚くの、面白がってるよねぇ。

月村手毬

きっとそういう趣味なんだ。性格悪い。変態。

花海咲季

まぁまぁ、たしかに急な話だったけど──

花海咲季

ユニットメンバー同士で一緒に暮らして、

花海咲季

お互いのことを知れ──ってコトでしょ?

花海咲季

いい考えだと思うわ。

花海咲季

これから1年間、運命共同体なんだし。

藤田ことね

まぁ、ひとり部屋より寮費安くなるってゆーし、

藤田ことね

あたし的にもありがたいかなー。

月村手毬

引っ越しなんて面倒。練習時間が減るだけ。

花海咲季

みんなでやればすぐよ。

花海咲季

ほら、今日中に、荷物運んじゃいましょう。

花海咲季

さぁ、ここがわたしたちの部屋よ!

藤田ことね

お~、いいじゃんいいじゃん!

月村手毬

3人で暮らすには狭すぎるような。

月村手毬

人数分のベッドを置くスペースないよ。

藤田ことね

布団敷けばいーし、じゅーぶんじゅーぶん。

花海咲季

これから共同生活を送っていくわけだけど──

花海咲季

先に言っておくわ!

花海咲季

ごはんは、全部わたしが作るから!

月村手毬

寮にも学園にも、食堂があるでしょう。

花海咲季

わたしたちは全員、毎朝4時に起きるじゃない?

花海咲季

食堂がやってないわ。

藤田ことね

エッ、わたしも4時起きすんのぉ?

一同

当たり前でしょ?

藤田ことね

⋯⋯息ぴったりやん。仲良しかよ。

月村手毬

き、気持ち悪いこと言わないで。

花海咲季

いーい? 食堂のメニューは、ものすごーく

花海咲季

よく考えられているけど、あくまで万人向け。

花海咲季

だからわたしが作ってあげる!

花海咲季

あなたたちにとって最適な──

花海咲季

トップアイドルになるための食事をねっ!

花海咲季

わたしの特性手料理を毎日3食、食べなさい!

花海咲季

そうすれば、理想的なアイドルのカラダが手に入るわ。

月村手毬

⋯⋯ッ! ず、ずいぶん自身があるみたいだけど⋯⋯

月村手毬

根拠はあるの?

花海咲季

専門家のお墨付きをもらってあるわ。それに⋯⋯

花海咲季

わたしたち姉妹は、ずっとわたしの特性手料理を食べて

花海咲季

結果を出し続けてきたのよ。

月村手毬

⋯⋯⋯⋯ふとらない?

花海咲季

見なさい、わたしの美しいボディラインを!

月村手毬

ふ、ふぅん⋯⋯

月村手毬

そこまで言うなら、私も食べてみよう、かな。

藤田ことね

あ、待って待って、

藤田ことね

食事代って、寮費に入ってるじゃん。

藤田ことね

余分なオカネ使いたくないんだけど~。

花海咲季

お金なんて、もらうつもりないけど?

藤田ことね

はあ~? ダメに決まってるだろ、そんなの。

藤田ことね

メンバー同士で貸し借りを作るとかさぁ──

花海咲季

農家やってる祖父が、食材を送ってくれるのよ。

花海咲季

妹とふたりじゃ食べきれないくらい。

花海咲季

一緒に食べてくれるなら、むしろ助かるわ。

花海咲季

それでも気になるっていうなら、

花海咲季

あなたが納得するぶんだけ、支払って。

藤田ことね

ん~⋯⋯そういうことなら⋯⋯甘えとく。

花海咲季

決まりね。ひひ~、

花海咲季

さっそく今夜から、腕を振るわせてもらうわっ!

藤田ことね

お~、期待してる~。

花海咲季

うんッ、お姉ちゃんにまっかせなさい!

月村手毬

⋯⋯あ、意外と美味しい。⋯⋯身体にはよさそう。

藤田ことね

うっまー! お姉ちゃん、やるね~!

花海咲季

えへへへへぇ⋯⋯でっしょ~?

花海咲季

遠慮しないで、食べて、食べてっ♪

藤田ことね

(お姉ちゃんって呼ぶと、めっちゃ喜ぶなこいつ)

藤田ことね

ところで、夕食の時間が早くない?

藤田ことね

まだ夕方じゃん。外明るいじゃん。

花海咲季

だって8時前には寝るもの。

藤田ことね

うえぇ早!?

花海咲季

早くないでしょ。朝4時に起きるんだから。

月村手毬

夜起きててどうするの? レッスンできないのに。

藤田ことね

いや⋯⋯テレビとか⋯⋯電話とか⋯⋯

藤田ことね

つか、あたし今日はバイトないからいいけど!

藤田ことね

帰りが夜になることだってあるんですけどぉ!?

花海咲季

夕食用のお弁当を作ってあげるわ。

月村手毬

先に寝るから電気つけないでよ。

藤田ことね

⋯⋯⋯⋯うっす。

藤田ことね

(こいつらまじか。⋯⋯まじかぁ~~~~)

藤田ことね

(最低でも1年間、このふたりと一緒⋯⋯ね)

藤田ことね

(ウワ~⋯⋯どーなることやら)

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