そーいえば、プロデューサー。
アレはどうなってるの?
アレとは?
名前よ──わたしたちのユニットの、名前。
考え中です。相応しい名前にするためには、
先に決めるべきことがありますから。
なに? 先に決めるべきことって。
センターでしょう。
ご名答。完全に固定するわけではありませんが、
3人のうち、メインでセンターに立つのは誰か。
決めておきたいと思います。
⋯⋯ふぅん。
プロデューサーは、『ユニット名』よりも先に、
『センター』を決めたいのね。
ユニットの“色”が決まってから、
相応しい名前を付けたい、と。
うんうん、わかるよ~、その気持ちっ。
って、ワ・ケ・でぇ~~~~~♪
わたしがやってあげるわ!
はぁ!?
この3人の中で、一番実力と実績があるのは私。
歌が一番上手いのも私。
一番目立つセンターは、当然、私がやるべき。
そうでしょ?
こんな簡単なこともわからないなんて、
ばかじゃないの?
いやいやいやいや! バカはそっちっしょ!!
いいかぁ? アイドルのセンターってのはぁ、
いちばん! 顔が! かわいいやつがやるんだよ!
なら、私ね。
自分で言う!?
う~わ~、自画自賛とかヒくわぁ~~~~。
あ、あなたがっ! わ、私の顔がいいって──
言ったけどぉ! ⋯⋯あたしの方が、可愛いし?
自分が数秒前に言った台詞すら覚えていられないの!?
うっさいなぁ~! 一番可愛いあたしが
センターで踊った方が見栄えい~じゃんか!
こらこら~、喧嘩しないの。
そうね⋯⋯ここは穏便な方法で決めましょう。
穏便な方法って?
年功序列! 人生経験の一番多いこのわたしが、
一番偉いポジションを務めるべきよ!
え? 咲季って、年上なん?
4月2日生まれなの。
へ~、お誕生日おめ~。
おめでとう、花海。
えへへ⋯⋯ありがと。
⋯⋯ふたりは大切な仲間だから、特別に⋯⋯
わたしのこと、お姉ちゃんって呼んでもいいわっ!
お姉ちゃん、引っ込んでて。
お姉ちゃん、地獄に落ちて。
当たりキッツいわね!
だいたい⋯⋯年功序列なら、
藤田が年長なんじゃないの?
え? なにそれ?
花海が『先輩』って⋯⋯あなたのことを。
留年してるんでしょう? 劣等生だから。
してねーし! 咲季ぃ~~~!
やっぱり勘違いされたじゃん!
あ! プロデューサーまで笑った!!
担当アイドルが喧嘩してんのに止めもしないでぇ!
誤解です。自分の見る目があったことを、
再確認していただけですよ。
それに、意見が衝突しているなら、ちょうどいい。
⋯⋯どゆこと?
ユニット活動の第一歩。相互理解を深めるため⋯⋯
3人には、一緒に暮らしてもらいます。
えっ?
その上で⋯⋯月末までに、自分たちで決めてください。
誰がセンターに立つべきなのか。そして、もう1つ⋯⋯
誰がリーダーに相応しいのかを。
えっ? えっ? えっ?
『ユニット内での役割を決める』──
──それが次の課題です!
えぇぇえぇぇぇ~~~~~~~~~~~ッ!?