学マスデータベース

第13話

花海咲季

わたしと来なさい、月村手毬!

月村手毬

(胸が、熱い)

月村手毬

(心に、燃える火を投げ込まれたような)

月村手毬

(つい⋯⋯はい、と、言いかけて────)

???

まりちゃん。

???

⋯⋯ずっと一緒に、夢を目指しましょうね。

月村手毬

(ぎりぎりで、踏みとどまった)

月村手毬

(本当は、自分でもわかってる)

月村手毬

(私は、ただ、ワガママなだけだって)

月村手毬

(仲間の気持ちや都合を無視して、)

月村手毬

(やりたいようにやってきただけだって)

月村手毬

(なのに、みんなが私に合わせてくれないことに)

月村手毬

(拗ねて⋯⋯逃げて、迷惑をかけて⋯⋯)

月村手毬

(台無しにして⋯⋯)

月村手毬

(最低な私は⋯⋯それでも、夢を諦められなくて)

月村手毬

(これからはひとりでやろう)

月村手毬

(そう決めたんだ。⋯⋯それなのに)

花海咲季

だから、あなたがいいの。

月村手毬

(いまになって、どうしてそんなことを言うの!?)

月村手毬

悪いけど、

月村手毬

私はあなたが思っているようなやつじゃないよ。

花海咲季

そうなの?

月村手毬

うん。期待されても困る。それに、私の噂──

月村手毬

色々言われているの、知っているでしょう。

月村手毬

あれは、全部、ほんとうのこと。

月村手毬

だから⋯⋯私には関わらない方がいい。

月村手毬

(これでいい)

月村手毬

(もう二度と、ユニットは組まないって決めたんだ)

月村手毬

(私のワガママで、仲間に迷惑をかけるのは⋯⋯)

月村手毬

(なにもかもを台無しにするのは⋯⋯もう嫌だから)

花海咲季

ん~、んんん~~~~~~~~~~っ!

花海咲季

ああもーーッ、メンドくさい!

花海咲季

噂がほんとうかなんて、どうでもいいわ!

花海咲季

あなたの気持ちも関係ないっ!

花海咲季

あなたを3人目にする! そうわたしが決めたのよ!

花海咲季

大人しく言うとおりにぃ~~~~~~~~~!

花海咲季

あいひゃたたた!? あ、あにすんのよことね!!

藤田ことね

こっちの台詞だバカぁ!

藤田ことね

黙って聞いていたら、ムチャクチャ言いやがって~!

藤田ことね

ゴメンね? うちのバカが──

藤田ことね

あ、そうだ。この場にはプロデューサーもいないし、

藤田ことね

あたしからも、本音で一言いい?

藤田ことね

あたし、あんたのことキラーイ♪

月村手毬

なっ⋯⋯!

藤田ことね

意識高ぁ~いみたいなおすまし顔で、

藤田ことね

上から見下してくるトコとかさぁ、

藤田ことね

イライラするんだよねぇ。

藤田ことね

成功しかけてたくせに、ちょっと喧嘩したくらいで、

藤田ことね

恵まれた立場を捨てちゃうところとかぁ──

藤田ことね

後々響きそーな悪い噂を否定もしないで、

藤田ことね

悲劇のヒロインぶってスカしているところとかぁ──

藤田ことね

ぜぇ~んぶキライ。

藤田ことね

ほんとにトップアイドルになる気あんの~?

月村手毬

あ⋯⋯あなたにっ、私のなにが⋯⋯!

藤田ことね

そりゃわかんないよ。他人だもん。

藤田ことね

だけど、あたしは、あんたと一緒に仕事がしたい。

藤田ことね

もしも悪い噂が全部本当で、

藤田ことね

あんたが、マジで性格終わってる最低のやつでも⋯⋯

藤田ことね

3人目は、あんたがいい。

月村手毬

⋯⋯⋯⋯⋯なんで、そんな、こと。

月村手毬

私のこと──嫌いなんでしょうっ!?

藤田ことね

決まってんじゃん。

藤田ことね

決まってんじゃん。

藤田ことね

顔がよくて、歌が上手いから!

月村手毬

──ふざけないで。

藤田ことね

ちっともふざけてねーし。

藤田ことね

今年の内部進学組なら、みーんな知ってるよっ。

藤田ことね

月村手毬は、頭がよくて、歌がめちゃ上手くて、

藤田ことね

練習の鬼で、向上心のカタマリで──

藤田ことね

中等部では、トップだった、ってさ。

藤田ことね

あたしにとっては、雲の上の人。

藤田ことね

そんなやつと、ユニット組めるとかっ!

藤田ことね

大チャンスじゃん? 好きとか嫌いとか、

藤田ことね

これまでの経緯とか、全部どーでもいーよ。

藤田ことね

あたしたち、お友達でもなんでもねーし?

藤田ことね

ユニット組んでも、仲良くなんてできるわけねーし?

藤田ことね

たぶん、色々、

藤田ことね

それでよけりゃ、一緒にやろーぜっ。

月村手毬

私、あなたのこと嫌いだけど?

藤田ことね

うん、知ってる~。

月村手毬

花海のことも、嫌いだけど?

藤田ことね

あたしもきらーい♪

花海咲季

えぇぇ!? そうなの!? なんでぇ!?

花海咲季

こんなに可愛くて才能あって性格もいいのに???

藤田ことね

そーゆーとこだよ!

月村手毬

⋯⋯ぷっ。

月村手毬

くふ⋯⋯ふふふっ⋯⋯なに、それ⋯⋯?

月村手毬

こんなにバラバラなメンバーで⋯⋯

月村手毬

⋯⋯ユニットを組んじゃうの?

月村手毬

⋯⋯はぁ⋯⋯なんだか、

月村手毬

色々気にしてたのが、バカらしくなってきた。

月村手毬

よく考えたら──大嫌いなあなたたちに

月村手毬

迷惑かけたって、心は痛まないもの。

月村手毬

ユニット、入ってあげるよ。

月村手毬

せいぜいあとで、後悔すれば。

月村手毬

(もう、遠慮しなくていいんだ)

月村手毬

(新しい仲間の前では)

月村手毬

(思いっきり、自分を出してもいいんだ!)

月村手毬

(いつも心と違うとこを言う私の口は⋯⋯)

月村手毬

(珍しく、思った通りに動いてくれた)

月村手毬

私は必ず、トップアイドルになってみせる。

月村手毬

──足を引っ張ったら、殺すから。

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