学マスデータベース

第12話

花海咲季

あなた、すっごいじゃない!!

月村手毬

⋯⋯急に訪ねてきたと思ったら⋯⋯

月村手毬

いま何時だと思っているの?

花海咲季

朝の4時よ! これから走りに出るんでしょ?

花海咲季

一緒に行くわ、話があるの。

月村手毬

⋯⋯あなたと話すことなんてない。

花海咲季

あっそう。でもこっちにはあるから。

花海咲季

あなたたちのライブ映像を観たの!

月村手毬

⋯⋯⋯⋯⋯⋯

花海咲季

素敵だったわ! わたし、井の中の蛙だったみたい!

花海咲季

あなたが正しかった。この間はごめんなさい!

月村手毬

えっ⋯⋯

月村手毬

(い、意外といい人⋯⋯なのかも)

月村手毬

話って、それだけ?

月村手毬

声が大きくて近所迷惑だし⋯⋯もう帰って。

花海咲季

いーえっ、本題はこれからっ! 走りながら話すわ!

花海咲季

ほらっ、早く準備して! 行きましょう!

月村手毬

⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯

花海咲季

あああっ!! なんで閉めるのよ~~~~~っ!

花海咲季

開けなさぁ~~~~~~~~~いっ!!

月村手毬

⋯⋯なにあいつ。

月村手毬

(あんなにキツい言い方をしちゃったのに⋯⋯)

花海咲季

も~、先行っちゃうからね────

月村手毬

(ちっとも気にしていないみたい)

ナレーター

──放課後。

花海咲季

こらーっ! 手毬!

花海咲季

今朝は結局走りにこなかったでしょ~!

月村手毬

ええ、あなたと話したくなかったから。

花海咲季

だからって、練習サボったらダメじゃない!

花海咲季

いままで、毎朝走ってたんでしょう?

月村手毬

うっ⋯⋯⋯⋯それは、そう、だけど。

花海咲季

い~い? トップアイドルになりたいなら、

花海咲季

もっと頑張りなさいっ!

月村手毬

あ、あなたに言われなくたって!

花海咲季

ならいーわっ、ふふん。

月村手毬

断っておくけど、あなたと一緒に走る気はないから──

月村手毬

ぎゃあ!? な、なに!?

花海咲季

うん、やっぱり⋯⋯全身くまなく鍛えられているわね。

花海咲季

下半身もいい感じ。スポーツとか、やってた?

月村手毬

(あ、あんまり触らないで欲しいんだけど⋯⋯)

月村手毬

⋯⋯なにも。3年間、レッスンを受けてきただけ。

月村手毬

⋯⋯それが?

花海咲季

あのね──わたし、アイドルを舐めてた。

花海咲季

ず~っと、色んなスポーツやってたからさ。

花海咲季

身体を動かすことで負けるわけないって、

花海咲季

そう思ってたの。

花海咲季

でも、入学早々、あっさり負けちゃった。

花海咲季

自信があったダンスで⋯⋯ことねに。

花海咲季

内部進学組の人たちって⋯⋯

花海咲季

アイドルって、すごいのね。

花海咲季

手毬。わたし──

花海咲季

あなたと、ユニットを組みたい。

月村手毬

⋯⋯私は、ユニットなんて組みたくない。

月村手毬

どうせ、誰も⋯⋯私には付いてこられないから。

月村手毬

(付いてきては、くれないから)

花海咲季

ふふん、そうかしら?

月村手毬

なに? ⋯⋯自分なら、私に付いてこられるとでも?

花海咲季

はぁ? バッカね~、勘違いしないでくれる?

花海咲季

わたしがあなたに付いていくんじゃないわ──

花海咲季

あなたが、わたしに付いてくるの!!

月村手毬

────え?

花海咲季

言ってたわよね『仲間が役立たずだから抜けた』って。

花海咲季

な~んかやたらとツラそーに。

花海咲季

それのなにが悪いの? そぉ~んな当たり前のことで、

花海咲季

いつまで悩んで暗くなってるつもり?

花海咲季

わたしはね──わたしに追いついてこないやつらを、

花海咲季

いちいち待ってなんてやらないわ!

花海咲季

どんなに大切な仲間だろうとよ!

花海咲季

だってわたしは、トップアイドルになるんだもの!

花海咲季

頂点を目指すんだもの! だからっ⋯⋯

花海咲季

足手まといはいらない。わたしを追い抜いて、

花海咲季

どんどん置き去りにしてしまうような──

花海咲季

そんな心強い仲間ライバルが欲しい!

花海咲季

だから、あなたがいいの。

月村手毬

──────────

花海咲季

わたしと来なさい、月村手毬!

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