学マスデータベース

第11話

月村手毬

⋯⋯はぁ⋯⋯はぁ⋯⋯はっ⋯⋯⋯⋯

月村手毬

(身体を動かしている間だけは、)

月村手毬

(悩みを忘れられる──)

月村手毬

(そんなの嘘)

月村手毬

みんな! どうしてわかってくれないの!?

月村手毬

私たちなら、もっと上を目指せる!

月村手毬

だから、もっと、もっと──

???

『頑張ろう』って?

???

いい加減にしてくれない? うんざりなんだけど。

月村手毬

⋯⋯⋯⋯!! で、でも⋯⋯!

???

まりちゃんは⋯⋯がんばりすぎだと思います。

???

このままじゃ、きっと、潰れてしまう──

???

走るのをやめて⋯⋯一緒に⋯⋯歩きましょう?

月村手毬

⋯⋯そんなの⋯⋯できるわけない。

月村手毬

私は⋯⋯絶対⋯⋯止まってやらない⋯⋯!

花海咲季

おはよ!

月村手毬

ひゃ!?

月村手毬

あ、あなたは────

月村手毬

なんの用?

花海咲季

ん~? わたしも、ここ走ろっかなって。

月村手毬

邪魔。別のところに行って。

花海咲季

イヤよ。ここが一番走りやすいコースだもの。

花海咲季

そっちが移ればいいじゃない。

月村手毬

このコースを走ると決めたの。そっちが移って。

花海咲季

べーっ。

月村手毬

⋯⋯っ。なら、勝手にすれば。

花海咲季

言われるまでもなく、そーするわ。

月村手毬

(こんなやつ⋯⋯引き離してやる)

花海咲季

ねぇねぇ。なんでユニット解散したの?

月村手毬

なっ⋯⋯あ、あなたには関係ない。

花海咲季

大ありよ。プロデューサーも、ことね先輩も、

花海咲季

あなたを仲間にしたい──って言うんだもん。

月村手毬

(えっ⋯⋯⋯⋯あの人、1年生だったはずじゃ?)

月村手毬

(⋯⋯りゅ、留年してたんだ⋯⋯)

月村手毬

⋯⋯プロデューサーに聞いたら?

花海咲季

教えてくれないのよ。プライベートだから──って。

月村手毬

じゃあ、あの先輩に聞けばいい。有名な話だし。

花海咲季

もう聞いた。悪い噂ばっかり。

花海咲季

あることないこと、た~っぷり聞かされたわ。

花海咲季

でもさ、噂は噂じゃない?

花海咲季

尾ひれとかも付いてるだろーし。

花海咲季

だから、直接本人に聞いているの。

月村手毬

⋯⋯そう。なら、教えてあげる。

月村手毬

ずっとまとわりつかれたから、うっとおしいし。

月村手毬

私以外のメンバーが、役立たずだから、抜けたの。

月村手毬

それだけ。

花海咲季

ふーん?

月村手毬

なに?

花海咲季

それ、ウソでしょ?

月村手毬

なっ!?

花海咲季

ひひ~、やっぱり。だいたいわかったわ。

花海咲季

じゃ、お先~。

月村手毬

⋯⋯ッ!! 待ちなさい!!

花海咲季

うわ、無理して付いてこないほうがいいわよ?

月村手毬

うるさいっ! なんなのあなた!

花海咲季

花海咲季! 未来のトップアイドルよ!!

月村手毬

なっ────

花海咲季

あなたは?

月村手毬

⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯

月村手毬

⋯⋯月村手毬。

月村手毬

トップアイドルになるのは、あなたじゃない。

月村手毬

私だから!

花海咲季

そう! じゃあ、手毬!

花海咲季

もっともっともぉ~っと頑張って、

花海咲季

追いついてきなさい!

月村手毬

⋯⋯はぁ⋯⋯はぁっ⋯⋯この⋯⋯! 偉そうに⋯⋯!

月村手毬

⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯

月村手毬

(『もっと頑張れ』なんて声を掛けられたのは⋯⋯)

月村手毬

(⋯⋯いつぶりだろう)

月村手毬

(もう、思い出せなかった)

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