(新入生へのオリエンテーションがようやく終わり)
(課外活動が始まった)
(今日は、初回のダンスレッスン)
私が君たちのトレーナーだ。よろしく頼む。
はい!
(私たち3人が、一緒にレッスンを受けているのは)
(⋯⋯同じプロデューサーが担当だからだ)
⋯⋯プロデューサーは、当然、私を選ぶでしょ?
これ以上、期待を裏切らないで。
(⋯⋯あんなことがあった後でも)
(レッスンをさぼるわけにはいかないから)
(すごく⋯⋯不本意。プロデューサーには⋯⋯)
(私だけを担当して欲しかったのに⋯⋯)
あ! プロデューサー! きてくれたんですね~っ!
プロデューサー!
わたしたちのレッスン、しっかり見てなさいっ!
(どういうこと⋯⋯?)
(あなたたちも、プロデューサーを)
(独占したかったんじゃなかったの⋯⋯?)
(特に⋯⋯あっちの子は、かなり怒っていたのに⋯⋯)
⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯
(きっと、なにかがあったんだ)
(プロデューサーと)
(私の知らないところで)
(ず⋯⋯⋯⋯)
(ズルい〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!)
(あのふたりとは、お話したんだ!)
(ちゃんと相談して、納得させたんだ!)
(私のところには、きてくれなかったのにっ!)
(どういうことなんですかっ!)
(プロデューサぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!?)
(私、私⋯⋯泣きそうですよ〜っ!)
⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯
(⋯⋯⋯⋯に、睨まれている)
(⋯⋯底知れぬ怒りが伝わってくるようだ)
月村さん、話があります。
このあと、時間をいただけませんか?
プロデューサーと話すことなんてありません。
私のこと、調べてきたって言っていましたよね?
なら、私がユニットを組みたくない理由も、
知っているはずです。
なのに⋯⋯あんな⋯⋯
信用できるわけないじゃないですか!
フラれちゃいましたねぇ、プロデューサぁ~♪
さぁてっ! どーやってあいつを説得するか、
作戦会議しましょ~か。
あのさ。
いまさらだけど、あの子って、仲間にする必要あるの?
わたしと、ことね先輩のふたりで十分じゃない?
先輩ゆーな。咲季ちゃんさー、
まーた足手まといはいらねーとか思ってるでしょ?
うん。
言っておくけどぉ、あいつ、めちゃくちゃ歌上手いよ?
咲季より、ずぅ~~~~~~~っと。
えええっ!? 嘘でしょ~~~~~!?
⋯⋯ほんっと、自己評価高いよなぁ。
あいつ⋯⋯月村手毬。
中等部のときユニット組んでてさ。
学園内では有名だったんだ。
クラス違うあたしも知ってるくらい。
未来のトップアイドル候補──って。
へえ~~~~っ! すごいのね!
んっ? でも⋯⋯
⋯⋯いまはユニット組んでない、ってこと?
解散したんだよ。
なんで? そんなにスゴかったなら──
よっぽどの理由がなきゃ、解散なんてしないでしょ。
あー⋯⋯噂で聞いただけだから、
てきとーなこと言いたくないんだけどぉ。
あいつが原因で、喧嘩別れになった、って。