ふぅ~~~~~~~~~~~っ!
つ⋯⋯つっかれたぁ~~~~~~~~~~~~~!
(久しぶりに────気持ちよく踊れた気がする)
(だけど⋯⋯も~、限界。自分で立てないや)
──ほら。
⋯⋯あ、ありがと。
え~と⋯⋯⋯⋯どう、だった?
(この勝負、あたしとあんた、どっちの勝ち?)
⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ッ!
わたしの負け!!!
⋯⋯⋯⋯っ。想定内よっ!
わたしよりもず~っと早くから、本気でアイドル活動に
取り組んできた人たちが、たくさんいるんだもの!
いまのわたしが、いきなり全員に勝てるなんて、
一番になれるなんて、思ってもなかった⋯⋯!
ひひ~、強がるなって~。超くやしそーじゃん。
悔しいに決まってるでしょ!
わたしは負けるのが世界で一番嫌いなの!
くやしい、くやしい⋯⋯
悔しい悔しい悔しい悔しい~~~~~~~~~~~ッ!
ぐすっ⋯⋯足手まといなんて言って、ごめんなさい。
いーよもう、別に気にしてないし。
これからは、ことね先輩って呼ぶから。
な、なんで先輩?
アイドルとしての、尊敬する先輩という意味よ!
留年した人みたいじゃん! マジやめて!
じゃあ他の呼び方を考えておくわ。
普通に名前で呼びゃいーだろ! こっちもそー呼ぶし!
(せっかく猫かぶってたのに、どんどん剥げていく)
(こいつに対しては、もーいいやって)
(バカバカしくなってきたから)
そう? じゃあ、ことね──
なんで一昨日は自信なさそうにしていたの?
あんときは、実際勝てる気しなかったし。
あたしも、不思議なんだよね~。
な~んでこんなに今日、調子よかったんだろ。
休養して、コンディションが回復しただけです。
つい先日まで、藤田さんは、
複数のアルバイトを掛け持ちしていました。
なのにレッスンや仕事の量も、
他の生徒より多いぐらいでした。
休日など、一切なかったはずです。
睡眠不足、過労⋯⋯コンディション不良ゆえの
成績不振──からのさらなる練習量増加⋯⋯
この悪循環が、藤田さんの自信喪失の原因でした。
本来の実力を発揮すれば、新入生に負けることは
ありません。例え相手が咲季さんでも。
⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯
自分の体調もわかってなかったとか⋯⋯
さては、あなたバカでしょ?
うっさいなァ! いま自分でもそう思った!
しょーがねーだろー! お金が欲しかったの!
それにしたって、バカよ。ほんっと、バカ。
信じらんないバカ。うちの妹と同じレベルのバカ。
ぐぬぬ⋯⋯! あたしに負けたくせに、
言いたい放題言いやがってぇ⋯⋯!
好きよ、あなたみたいなやつ。
わたしとユニット、組んでくれる?
⋯⋯ゆっとくけど、
あたしがアイドルやってるのは、お金のためだから。
ふーん、わたしがアイドルやってるのは、
すごい人たちと競い合って勝つのが好きだからよ。
このわたしが、世界一を目指せる競技だからよ。
おんなじね!
⋯⋯あたしがあんたとユニット組みたいのはぁ、
成り上がんのに役立ちそーだからだけど?
わたしがあなたとユニットを組みたいのは、
わたしに勝ったことねのことが大好きになったからよ!
わたしたちって、似た者同士ね!
似てねーし! あーもー、調子狂うなーっ!
とりあえず! ユニットメンバーふたり目ってコトで!
咲季、これからよろ!
こちらこそ!!
さぁ、次は3人目よっ!
首を洗って待ってなさい!!