ことねと咲季の、勝負の日がやってきた。
よく逃げずにやってきたわね! 褒めてあげるわっ!
おっ、さんきゅ~。
よ~っし、じゃーさっそく勝負する~?
悪いケドぉ、かる~く勝たせてもらっちゃうからね~♪
⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯へぇ。
びっくりしたぁ。
あんなに自信がなさそうだったのに⋯⋯
あなた、一昨日とはまるで別人じゃない!
いったい、なにがあったの!?
え~? いっやぁ~~~~。
なーんか今日、朝からずぅ~っと気分爽快でぇ!
身体がメチャ軽いってゆーか!
やる気がドンドン溢れてくるってゆーか!
くふふふふ~⋯⋯⋯⋯
きっとこれが、収入アップを約束されたアイドルの力!
今日のあたしは、夢と希望に満ちているッ!
カクゴしろよぉ学年首席ぃ!
あたしが勝ったら~、
き~っちり約束守ってもらうからナ~!
なんだかよくわからにけど────
今日のあなたは、アイドルの顔をしているわ。
うん⋯⋯うん⋯⋯いいわね!
いまのあなたに負けたら、す~っごく悔しいわ!
相手にとって不足なし! 特別に名前を聞いてあげる。
言ってなかったっけ? あたしは藤田ことね。
よろしくねぇ~、花海ちゃん♪
ことね⋯⋯! あなたのこと、好きになれそう──
負かしてあげるから、かかってきなさい!
はいはい、お手柔らかにぃ♪
ところでダンス勝負って話だったけど、
どうやって勝敗を決めんの?
おふたりには、ここで順番にパフォーマンスを
披露してもらい、審査員が勝敗を決めます。
審査員は、プロデューサーが?
咲季さんに務めていただきます。
えっ⋯⋯?
わたしが勝敗の判定をする⋯⋯ってこと?
え~ッ!? そのコがズルして『自分の勝ち~』
って言うかもしれないじゃないですかぁ!
ありえません。こと勝負において⋯⋯
彼女は誰よりも公平ですから。信用できます。
⋯⋯わ、わかってるじゃない。
プロデューサーがそう言うなら⋯⋯いいですけど。
そっちこそ、負けたときズルいとか言わないでよね。
そ。なら、さっそくわたしから。
──────────
⋯⋯すっご。ほんとに新入生?
(入学するまでの半年──誰よりも本気で)
(プロよりも濃密に、練習を積み重ねてきたのだろう)
(──やがて。彼女のダンスが終わる)
ふぅっ⋯⋯
どう、プロデューサー? わたしのダンスは!
期待以上です
そっ、そう⋯⋯ふぅ~ん⋯⋯
そんなによかったんだっ⋯⋯ひひっ。
じゃっ! 次はあたし~ですネっ♡
藤田さん──
信じています
いってらっしゃい
期待しています
ほ~い、いってきまっす! プロデューサー!