ねぇ、プロデューサー。どこに行くの?
P科の生徒には、教室を一室、
活動拠点として使うことが許可されています。
カツドーきょてん~?
いうなれば、我々の事務所にあたる場所です。
おおっ、事務所! 765プロ──みたいな?
その認識で間違っていません。
そっかぁ~!
わたしたちふたりの『アイドル事務所』ってわけね。
ふふふ⋯⋯未来のトップアイドルたるこのわたし、
花海咲季の覇道が、ちっぽけな教室から始まる──
悪くない⋯⋯悪くないわ!
すっごく燃えるシチュエーションよ!
なら、よかった。
ところでプロデューサー。
わたしの妹と、会って、話したんでしょう?
────どうだった?
どう、とは?
色々。
とても、可愛らしい方だと。
でしょ? でっしょお~~~~~~?
姉妹仲がいいんですね。
うんッ!
花海さんは、いままで⋯⋯多くの競技で、
妹である花海佑芽さんと競い合ってきた。
紛らわしいから咲季でいいわ。そうよ。
では咲季さん。あなた方はお互いに、
宿命のライバルだと想い合っている。
ええ、そうよ!
なのに、仲がいいんですか?
だから、仲がいいのよ!
わたしは、勝つのが好き。そう言ったじゃない?
アレ、すこし、訂正させて。
わたしは、わたしに勝ちうるヤツに勝つのが好きなの。
本気で挑んでくるヤツに勝つのが好きなの。
負けたら悔しい勝負に勝つのが好きなの。
きっとあの子もそう。
だからわたしたち姉妹は、
お互いのことがだぁ~い好きなのよ!
⋯⋯⋯⋯なるほど。よく、わかりました。
ま、そんな理屈は抜きにしても──
妹のことは大好きだけどねっ!
だってわたしは、お姉ちゃんだもの!
⋯⋯佑芽さんは、お姉さんに、ずっと負け続けてきた。
──と、そう言っていました。
ん、事実ね。
わたしは、あの子に負けたことはないわ。
しかし、あなたは⋯⋯⋯⋯
このままじゃ、絶対に負けたくない相手に、
絶対に負けたくないことで、負けちゃうの!
⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯
⋯⋯⋯⋯わかってるくせに。
ま、でも、そーよね。
プロデューサーには、ちゃんと伝えておかないと。
ここ?
はい。
なら、秘密の話は中でしましょ──
そう、わたしたちふたりの『事務所』でねっ!
あ! プロデューサー!
お疲れ様でぇ〜〜っす♪
──遅い。
いつまで待たせるつもりですか? プロデューサー。
⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯
⋯⋯ねぇ、プロデューサー?
このコたち、誰?
ハア? それはこっちの台詞なんですけどぉ〜〜〜!
プロデューサーに呼ばれてきたら、なんかいるし!
プロデューサー、説明してください!
あなたがプロデュースするのは、私だけ⋯⋯
そうじゃなかったんですか?
ちょ、ちょちょちょ、ちょっとプロデューサー!!
どういうコト!?
『一番星』を決める夏の祭典──
『Hatsuboshi IDOL FESTIVAL』!
この3人でユニットを組み、優勝を目指します!
えぇぇぇえぇ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!?