学マスデータベース

第1話

ナレーター

「アイドル」

ナレーター

それは わたし達の永遠の憧れ

ナレーター

夜空に輝く星のように

ナレーター

大地に咲く花のように

ナレーター

みんなの心を熱く震わせて

ナレーター

かなしさをやさしく包みこんで

ナレーター

いつも笑顔にしてくれる

ナレーター

そんな素敵な人になりたくて

ナレーター

わたしは「初星学園」の門をくぐりました───

プロデューサー

(新入生代表による挨拶が終わる)

プロデューサー

(入学式の厳粛な空気。心地よい緊張感)

プロデューサー

⋯⋯いよいよだ。

プロデューサー

(数々のトップアイドルを輩出してきた)

プロデューサー

(国内最大のアイドル養成校「初星学園」)

プロデューサー

(プロデューサーとして──)

プロデューサー

(俺の新生活が始まる!)

???

す、すいませ〜〜〜〜〜〜〜〜〜んっ!

???

入学式って、もう始まっちゃってますか!?

プロデューサー

もう、終わるところです。

プロデューサー

いまから入っていくのは⋯⋯難しいでしょうね。

???

うひゃ~、入学式当日から大遅刻!!

???

失敗したぁ~! どうやって合流しよう~!

プロデューサー

皆が講堂から出てくる際に、

プロデューサー

こっそり混ざってしまうというのは?

???

それです! ナイスアイデア!!

???

ああっ、申し遅れましたっ!

花海佑芽

あたし、アイドル科の新入生で花海佑芽っていいます!

花海佑芽

はじめまして!

プロデューサー

(花海佑芽。聞き覚えのある名前だ)

プロデューサー

こちらこそ、はじめまして。──こういうものです。

花海佑芽

おぉ~、プロデューサー科の方だったんですね~!

花海佑芽

──そうだっ! もしよろしければ、

花海佑芽

あたしをプロデュースしてくれませんか!?

プロデューサー

──唐突ですね。

花海佑芽

はい! あたし、アイドル初心者なので!

花海佑芽

プロデューサーさんが一緒にいてくれたら、

花海佑芽

心強いなって!

プロデューサー

(プロデューサー科は、信頼されているようだ)

プロデューサー

(先輩方が作ってきた実績の賜物だろう)

プロデューサー

初対面の人間に頼まずともいいのでは。

花海佑芽

あなたがいいんです! 直感なんですけど──

花海佑芽

この人なら、あたしの力になってくれそうだなって。

プロデューサー

直感、ですか。

花海佑芽

へへー、あたるんですよっ! あたしの勘!

プロデューサー

ところで⋯⋯花海さん。

プロデューサー

お名前が、生徒名簿に載ってないようですが。

花海佑芽

ふっふっふ!

花海佑芽

それはきっと、入学試験の成績がギリギリで、

花海佑芽

補欠合格だったからですね!

プロデューサー

この話はなかったことに。

花海佑芽

ちょちょちょちょちょ!

花海佑芽

ちょお〜〜〜〜〜っと待った!!

花海佑芽

確かにあたし、歌もダンスも筆記もスピーチも、

花海佑芽

ちょっぴりダメだったかもしれません!

花海佑芽

いいや! かなりダメダメだったかもしれません!

花海佑芽

でも! 試験では測れない、

花海佑芽

すっごい実力の持ち主かもしれないじゃないですか!!

プロデューサー

(押しが強い⋯⋯!)

プロデューサー

⋯⋯な、なるほど。では、動機を聞かせてください。

花海佑芽

──へっ?

プロデューサー

あなたがアイドルを目指した理由。

プロデューサー

この学園に入ろうと思った理由です。

花海佑芽

あっ、はい。それは、ですね。

花海佑芽

⋯⋯それは──────

花海佑芽

勝ちたい人が、いるんです。

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